豪ドル/円相場は、概ね80~82円の狭いレンジ内で揉み合う展開になっている。世界経済に対する過度の懸念後退が豪ドル相場をサポートするも、改めて豪ドル買いを買い進むような動きも鈍く、明確な方向性を打ち出せていない。80円の節目で一応のサポートラインを確認した形になるも、改めて豪ドルを買い進むシナリオが描けない状況が続いている。このため、短期筋の売買主導でボックス相場化している。
中国の温家宝首相は7月16日、経済成長回復の勢いは未だ不十分であり、「困難」は当面続く可能性があるとの認識を示した。ただ、成長支援のための政府の経済措置が「成果をもたらしつつある」として、現在の景気拡大ペースは目標のレンジ内であることを確認した。その上で、下期も成長下支えのために政策の微調整を強化すると指摘し、中国経済に対する信認回復に積極的に寄与している方向性が打ち出された。これが実際に有効に効果するのかは不透明だが、少なくとも中国当局が積極的な景気支援策を継続する所までは確認された形であり、豪ドルに対しては下値サポート要因として機能している。商品市況全体の下値不安後退も、豪ドルに対しては下値サポート要因として機能しよう。
もっとも、豪金利の低迷状態が続く中、豪ドル相場の上昇余地は限定されよう。足元では、5月と6月に合計0.75%の利下げを行った効果を見極めるスタンスになっているが、マーケットでは追加利下げの可能性が払拭できない状況が続いている。リスク資金の国債志向が強まる中、豪国債買いの動きが、豪ドル相場の上値を圧迫しよう。当面はリスクオンで豪ドル買い、リスクオフで豪ドル売りという単純な相関関係に回帰する見通し。明確な方向性が打ち出しづらくなっている。
今後1週間の予想レンジは、80.00~82.50円。